イスラエル、ガザ北部への支援物資を4か月ぶりに承認…「飢餓が深刻すぎる状況に？」

4か月ぶりの政策転換：イスラエル内閣の重大決定

皆さんは知っていましたか？イスラエルの安全保障内閣が7月5日夜の会議で、深刻な食料不足に苦しむガザ地区北部への支援物資搬入を承認したのです。この決定は、AP通信がイスラエル当局者の話として6日に報じたもので、4か月間続いた北部への支援物資封鎖が解除される可能性を示唆しています。

しかし、この決定を発表する許可を得ていないとして匿名を要求した当局者は、具体的な内容についてはそれ以上言及することを拒否しました。この秘密主義的な対応は、イスラエル政府内部での意見の分裂を物語っています。実際、極右の閣僚からは「ハマスを打ち負かすまでは、一切提供するべきではない」との強い反対意見も挙がったと報じられています。この政策転換の背景には、国際社会からの圧力と、ガザ北部の人道状況の悪化があると考えられます。

80日間の完全封鎖：ハマスの物資略奪を理由に

イスラエルがガザ北部への支援物資を封鎖した経緯を振り返ってみましょう。イスラエルは、国連などの国際救援組織の支援物資をハマスが組織的に受け取り、戦争目的で使用していると主張し、3月2日から約80日間にわたって国際救援トラックのガザ進入を完全に禁止しました。

この封鎖は一時的に5月19日に解除されましたが、わずか1週間後の5月26日から再び厳格な制限が課されました。今度は国連などの国際機関を完全に排除し、「ガザ人道財団（GHF）」という正体不明のアメリカのキリスト教福音派民間組織がガザ地区の支援物資配給を独占的に担当することになったのです。この決定は国際人道支援の原則に反するとして、多くの国際機関から批判を受けています。

謎の組織「ガザ人道財団」の問題点

ガザ人道財団（GHF）について詳しく見てみましょう。この組織は、ガザのワディ川とイスラエルのネツァリム東西回廊の下の中南部にわずか4か所の配給所しか設置していません。つまり、ガザ市などの北部地域は3月初旬以降、継続して国際救援物資が入らない極悪な物資不足と飢餓状況が続いているのです。

さらに深刻なのは、GHFの配給所周辺で多数の死傷者が発生していることです。ガザの保健当局によると、5月27日の配給開始以降、配給所での死者は計110人、負傷者は580人以上に達しています。国連機関はこのシステムを「忌まわしい死のわな」と厳しく批判しており、中立性に欠けるとして激しく非難しています。実際、ボストン・コンサルティング・グループは6月3日にこのプログラムからチームを撤退させ、GHFの創設ディレクターであるジェイク・ウッドも組織の公平性と効率性への懸念を理由に辞任しています。

ガザ北部の絶望的な状況：60万人が孤立

ガザ北部、特にガザ市の状況は想像を絶するものです。60万人以上の住民が4か月間、国際支援から完全に遮断されています。住民たちは蓄えていた限られた物資で生き延びなければならず、広範囲にわたる栄養失調と絶望的な状況に陥っています。

国際専門家たちは、ガザ北部が飢饉の瀬戸際にあると警告しており、特に子どもたちが栄養失調に対して極めて脆弱な状態にあります。世界保健機関（WHO）やその他の機関は、食料、医療用品、清潔な水を地域に届けるための即座のアクセスを繰り返し要求しています。基本的な必需品の不足は、世界中の人権組織から非難を浴びる人道的大惨事を引き起こしています。WFPの最新調査では、3人に1人が数日間全く食事を摂れていないことが明らかになっており、より多くの人々が飢餓の危機に直面しています。

国際社会の批判と圧力：「飢餓を戦争の武器に」

国際社会は、イスラエルが飢餓を「戦争の武器」として使用していると厳しく批判しています。人権組織は、ネタニヤフ政府がパレスチナ市民にハマスへの支持を放棄させるために、意図的に食料不足を利用していると非難しています。この戦略は、批判者によれば、国際人道法に違反し、民間人への集団的処罰を構成するものです。

国連は、政治的配慮に関係なく、最も脆弱な人々に支援が届くべきだと強調し、ガザのすべての地域への無制限の人道的アクセスを繰り返し要求しています。欧州連合の当局者も人道状況への懸念を表明し、より大きな災害を防ぐための即座の介入を求める声もあります。バイデン政権は状況を注意深く監視していますが、イスラエルに封鎖解除を迫る具体的な行動を取ることは控えています。

WFPの支援活動と制限：1日2000トンの目標

世界食糧計画（WFP）は、イスラエル当局との合意のもと、ガザに1日あたり2000トンの食料支援を搬入することを目標としています（北部と南部にそれぞれ1000トンずつ）。5月21日に国境が一部再開され、限られた人道支援物資の搬入が再開されて以来、WFPはガザへの支援活動を拡大し、これまでに1200台以上のトラックで18247トンの食料支援を搬入しました。

しかし、これは200万人以上の人々が生存するために必要な量のごく一部にすぎません。WFPは現在、地域内および輸送中の状態を含めて14万トン以上の食料を確保しており、これは全住民（210万人）に対して約2か月分の食料を供給できる量です。それでも、制限と治安悪化の中で、ガザでは今なお飢餓への恐怖と食料を求める切実なニーズが極めて高い状態が続いています。

この決定が意味するもの：ガザの未来への影響

イスラエルが4か月ぶりにガザ北部への支援物資を承認したこの決定は、人道状況があまりにも深刻になり、もはや無視できなくなったことを示す重要な認識を表しています。しかし、この決定の実施について多くの疑問が残されています。支援物資が論議を呼んでいるGHFシステムを通じて配布されるのか、それとも国連機関がガザ北部での活動を再開することが許可されるのかは不明です。

この決定のタイミングも重要で、ガザ北部の状況悪化の報告を受けて国際的な圧力が強まった直後に行われました。一部のアナリストは、イスラエルが封鎖の人道的影響を懸念するアメリカやその他の同盟国からの水面下での外交圧力に応じている可能性があると示唆しています。動機が何であれ、この決定はガザの人道危機における新たな段階の始まりを示す可能性がありますが、最も必要としている人々に支援がどれだけ迅速かつ効果的に届けられるかに多くがかかっています。