金正恩が中心に立つ:北朝鮮の新モザイク壁画が示す金氏王朝の新たな権威構図

金正恩が中心に:北朝鮮の壁画に見る権力の新時代
みなさんはご存知でしたか?2025年6月、北朝鮮の国営テレビが公開した最新のモザイク壁画では、金正恩が金日成・金正日両氏の間に堂々と配置されました。従来は世代順に左から金日成、金正日、金正恩という並びでしたが、今回の壁画では金正恩が中心。この大胆な配置転換は、彼自身の権威と指導力を誇示し、先代を超える存在であることを国内外にアピールする狙いがあると見られています。
壁画の歴史とその象徴性:金王朝のビジュアル戦略

北朝鮮では、モザイク壁画は金氏一族の偶像化を象徴する重要なプロパガンダツールです。2022年の連浦温室農場で初めて金正恩が描かれた壁画が登場し、その後も複数の工場や公共施設で三代の壁画が確認されてきました。しかし、これまでは金正恩は端に描かれることが多く、中心に配置されるのは極めて異例。これは単なる世襲の強調ではなく、金正恩自身の「卓越した業績」による正統性を強調するための新たな構図です。
専門家の分析:偶像化の加速と新たな権威の演出
統一研究院の洪民主任研究員は「金正日時代には生存する指導者の肖像が並ぶこと自体が異例だった」と指摘。最近の北朝鮮メディアでは、金正恩の革命思想が金日成・金正日主義を凌駕するとの言及も増えています。金正恩を中心に据えた壁画は、偶像化の焦点を彼自身に移し、体制の正統性を一層強固にしようとする意図が明確です。
コミュニティの反応:韓国ネットユーザーの賛否と皮肉
韓国のディシインサイド、エフエムコリア、ザクー、インスティズ、ネイバー、ダウムなどのコミュニティでは「ついに自分が祖父より上だと認めたのか」「プロパガンダが年々奇妙になっている」といった皮肉や批判が目立ちます。一方で「経済が悪化する中で偶像化を強めるのは逆効果では」と冷静に分析する声もあり、北朝鮮のビジュアル戦略の変化は韓国社会でも大きな話題となっています。
文化的背景:壁画が持つ北朝鮮社会での重み
北朝鮮の壁画は単なる装飾ではなく、国民が祝祭日ごとに参拝しなければならない「聖なる象徴」です。損傷や無視は重大な政治犯罪とされます。今回の金正恩中心配置は、体制の正統性や継承のあり方を根本から変える意志の現れであり、北朝鮮社会の価値観や権力構造をも再定義するものです。
最新の動向:金正恩の独自偶像化と体制の今後
金正恩は近年、金日成・金正日への過度な偶像化を控え、自身の独自偶像化を推進。新年や太陽節、光明星節の参拝回数も減少し、昨年からは「主体年号」の使用も中止。党幹部が金正恩単独のバッジを着用するなど、体制の象徴が急速に彼個人へと集約されています。この流れが体制の安定強化につながるのか、それとも内部の緊張を生むのか、今後の動向に注目が集まっています。
海外ファン・専門家の視点:北朝鮮の偶像化をどう見るか
海外の北朝鮮ウォッチャーやKカルチャーファンの間でも、この壁画の変化は大きな話題です。「K-POPアイドルの応援文化と真逆」「強制的な偶像化は体制の不安の現れ」といった意見が多く、北朝鮮のビジュアルプロパガンダが国際的にも注目されています。偶像化の未来は依然として不透明ですが、北朝鮮は今、自らの歴史を壁画で塗り替えようとしています。