ルビオ国務長官のマレーシア訪問:日韓訪問キャンセルで波紋、中国外相との歴史的会談実現

ルビオ国務長官の初アジア訪問:外交的な波紋を呼んだマレーシア行き
皆さんはご存知でしたか?マルコ・ルビオ米国務長官の就任後初のアジア訪問が、予想以上の外交的波紋を呼んでいることを。2025年7月8日から12日まで、ルビオ長官はマレーシアのクアラルンプールを訪問し、ASEAN関連の重要な外相会議に参加しました。
この訪問は、長官にとって就任後初のアジア訪問となり、中国の覇権主義的動きを意識しながら、インド太平洋地域におけるアメリカの関与を強調する重要な機会となりました。国務省は7月7日に、ルビオ長官が8日から12日までマレーシアを訪問し、ASEAN及び関連国の外相会議やEAS(東アジアサミット)の外相会議に参加することを発表しました。
しかし、この訪問で最も注目を集めたのは、当初予定されていた日本と韓国への訪問がキャンセルされたことでした。ルビオ長官は中国に対して強硬な姿勢を持つことで知られており、1月の就任以来、初めてのアジア訪問となるこの機会に、各国との協力関係の強化を目指すと見込まれていました。国務省の高官は7日に、今回の訪問について「ルビオ長官が伝えたい重要なメッセージは、我々がこの地域に関与し、優先することがアメリカの国益に繋がるということである」と述べました。
ASEAN会議での成果:包括的戦略的パートナーシップの深化

マレーシアでの一連の会議において、ルビオ長官はASEAN10カ国との重要な討議に参加し、地域の安全保障と経済協力について深く議論しました。特に注目されたのは、ASEAN-米国外相会議での包括的戦略的パートナーシップの進展についての確認でした。
ベトナムの副首相兼外務大臣ブイ・タン・ソン氏との二国間会談では、ベトナムと米国の外交関係樹立30周年という節目に会談が実現したことへの喜びが表明されました。両大臣は、過去30年間で両国関係が多くの分野で目覚ましい発展を遂げ、包括的戦略的パートナーシップの枠組みがますます実質的かつ効果的なものとなっていることを確認しました。
経済分野では、バランスのとれた、安定した、調和のとれた、持続可能な経済、貿易、投資協力を構築し、両国の共通利益のために困難を解決することで合意が成されました。ブイ・タン・ソン副首相兼大臣は、米国に対し、ベトナムのイノベーション、デジタル変革の促進、ハイテクサプライチェーンの開発、質の高い人材の育成の取り組みに対する支援を要請しました。
トランプ関税問題:アジア諸国の懸念と対応
ルビオ長官のマレーシア訪問は、トランプ大統領が発表した関税政策の影響下で行われました。トランプ大統領は、アジアにおける米国の主要同盟国である日本と韓国、さらにマレーシアからの輸入品に25%の関税を課すと表明していました。また、マレーシアとともにASEAN加盟国であるラオスとミャンマーには40%の関税を課すと発表していました。
この関税問題について、ルビオ長官は「アジアは他地域より良い関税率」の可能性を示唆し、東南アジア諸国に対してより優遇的な扱いを検討していることを明らかにしました。ある国務省関係者は、ルビオ氏が貿易問題について議論する用意があるとし、米国の貿易関係のバランス調整の重要性を改めて強調すると述べました。
ASEAN諸国からは、これらの関税政策に対する懸念の声が上がっており、地域の経済成長への悪影響を危惧する意見が多く聞かれました。ルビオ長官は、トランプ大統領の関税戦略に不安を抱くパートナー国や同盟国との関係強化を目指すとみられ、この訪問が重要な意味を持つことが強調されました。
中国外相との歴史的会談:米中関係の新たな展開
ルビオ長官のマレーシア訪問で最も注目を集めたのは、7月11日に行われた中国の王毅外相との初の対面会談でした。この会談は、トランプ政権発足後初の米中外相レベルでの直接対話となり、両国関係の今後の方向性を占う重要な機会となりました。
約1時間にわたって行われたこの会談について、ルビオ長官は「非常に建設的で前向きな」ものだったと評価しました。中国に対して強硬な姿勢で知られるルビオ長官が、このような前向きな評価を示したことは、多くの外交関係者を驚かせました。中国外務省も同様に「前向きで実用的、建設的な」会談だったと発表しました。
特に注目されたのは、ルビオ長官がトランプ大統領と習近平国家主席との首脳会談の実現に「強い意欲」があることを明らかにしたことです。「双方に強い意欲がある」と述べ、2025年中の首脳会談実現に楽観的な見通しを示しました。この発言は、米中関係の緊張緩和に向けた重要なシグナルとして受け止められています。
日韓訪問キャンセルの波紋:同盟国との関係に影響
ルビオ長官の今回のアジア訪問で最も議論を呼んだのは、当初予定されていた日本と韓国への訪問がキャンセルされたことでした。7月7日に調整されていたルビオ国務長官の初来日が見送られることが明らかになり、日本の外交関係者の間で失望の声が上がりました。
ルビオ長官は、マレーシアでのASEAN閣僚会合の前に日本や韓国を就任後初めて訪れる方向で調整していましたが、政府関係者によると、その後、日程の都合がつかず、今回の訪問は見送るとの連絡がアメリカ側からあったということです。この突然のキャンセルは、特に関税問題を抱える日韓両国にとって大きな失望となりました。
岩屋外務大臣は7月1日にワシントンでルビオ国務長官と会談し、トランプ関税を巡り、「日米同盟全体にとって重要な協議だ」として合意の実現に向けて協議を後押しすることで一致していました。「相互関税」の上乗せ分の一時停止期限が迫る中、来日に期待する声も出ていただけに、今回のキャンセルは日米関係に微妙な影響を与える可能性があります。
マレーシアでの日米外相会談:短時間ながらも重要な意見交換
日本への訪問はキャンセルされましたが、マレーシアのクアラルンプールで岩屋外務大臣とルビオ国務長官の間で短時間の意見交換が行われました。外務省の公式発表によると、現地時間7月10日に、ASEAN関連外相会議に出席するためマレーシアを訪問中の岩屋外務大臣が、マルコ・ルビオ米国務長官との間で重要な協議を行いました。
この会談は短時間ながらも、両国間の重要な課題について意見交換が行われたとされています。特に、トランプ政権の関税政策に関する日本の懸念や、インド太平洋地域での協力について話し合われたと推測されます。岩屋外務大臣は、この機会を活用して日米同盟の重要性を改めて確認し、両国関係の更なる発展について協議したものと考えられます。
ルビオ長官は就任以来、北東アジアの主要同盟国である日本や韓国を正式に訪問していませんでしたが、このマレーシアでの会談が、今後の日米関係の方向性を示す重要な機会となりました。両国は、地域の平和と安定、そして経済協力の促進について継続的な対話を行うことの重要性を再確認したと見られています。
今後の展望:インド太平洋戦略と地域協力の強化
ルビオ長官のマレーシア訪問は、その限界にもかかわらず、重要な時期における米国の東南アジアへのコミットメントを再確認することに成功しました。この訪問は、世界的な貿易緊張や中東・ヨーロッパでの競合する優先事項の中でも、トランプ政権がインド太平洋地域の戦略的重要性を認識していることを示しました。
今回の訪問の成果は、今後の外交的取り組み、特に2025年10月にクアラルンプールで予定されている第47回ASEAN首脳会議に影響を与える可能性があります。ルビオ訪問中に合意された2025年以降の新しいARF行動計画は、ASEAN共同体ビジョン2045と連携した継続的な安全保障協力の枠組みを提供することになります。
しかし、キャンセルされた日韓訪問は、政権が対処しなければならない外交的課題として残っています。貿易交渉が激化し、8月1日の関税期限が近づく中、ルビオの外交的アウトリーチの成功は、最終的に政権が経済目標と同盟維持のバランスを取る能力にかかっています。前向きな米中会談は管理された競争への希望を提供していますが、米国の貿易政策に対するより広範な地域的反応は、今後数ヶ月間における米国の東南アジアパートナーシップの持続性を試すことになるでしょう。