李在明政権の憲法改正推進が本格化、市民団体との協議開始も専門委員会設置は見送り

李在明政権の憲法改正推進が本格始動
皆さんは韓国の李在明政権が憲法改正への取り組みを本格化させていることをご存知でしたか?国政企画委員会は7月6日、憲法改正関連市民団体との非公開懇談会を実施し、李在明大統領の選挙公約である「国民統合のための憲法改正提案」を忠実に反映した改憲案を準備すると発表しました。
趙承来国政企画委員会報道官は7日午前、政府ソウル庁舎昌成洞別館でのブリーフィングで「昨日(6日)『国民主導相生改憲行動』代表団と懇談会を持ち、憲法改正について様々な議論を行った」と述べました。この懇談会は1時間40分間にわたって行われ、憲法改正における国民参加の重要性について深く議論されました。
国政企画委員会の今回の動きは、李在明大統領が5月18日に発表した具体的な憲法改正案を基盤として、市民社会との協力を通じて改憲を推進するという政府の意志を明確に示しています。特に注目すべきは、政治権力ではなく国民が憲法改正の主体となるべきだという原則を強調している点です。
李在明大統領の包括的憲法改正構想の詳細

李在明大統領が5月18日に発表した憲法改正提案は、韓国の政治システムに根本的な変化をもたらす内容を含んでいます。その核心は大統領4年連任制の導入で、現在の5年単任制を変更することを提案しています。この制度変更により、国民は4年ごとに大統領の業績を評価し、優秀な大統領には再選の機会を与える一方、不適切な大統領には責任を問うことができるようになります。
さらに、大統領選挙決選投票制の導入、国務総理の国会推薦制、5・18光州民主化運動精神の憲法前文への収録なども含まれています。また、監査院の国会移管、大統領拒否権の制限、非常命令および戒厳令宣布時の国会統制権限強化なども重要な改正内容として提示されました。
重要なのは、李在明大統領がこれらの憲法改正が自身の現在の任期には適用されないことを明確にしている点です。これは現行憲法第128条第2項に基づくもので、大統領任期延長に関する憲法改正は現職大統領には適用されないという原則を遵守するものです。この姿勢は権力集中に対する懸念を払拭し、憲法原則への政府のコミットメントを示しています。
市民参加と民主的参加フレームワークの構築
国政企画委員会と市民団体との懇談会は、市民中心のガバナンスに対する政府の幅広いコミットメントを表しています。7月6日の会議で、「国民主導相生改憲行動」グループは「国民発案制」の実施を提案しました。これは市民が直接憲法改正や法律制定・改正を提案できるシステムです。
市民団体はまた、国民が国政運営過程に直接参加できるプラットフォームや委員会の新設も要請しました。この提案は、直接民主主義の強化と政府意思決定における市民参加の拡大を重視する李在明大統領の選挙公約と一致しています。
朴洪根企画分科長は「憲法改正は優先的な国政課題」だと強調し、市民団体が提案した内容について深く議論し、国民参加と役割付与のガバナンスについて検討すると約束しました。委員会は憲法改正過程における市民参加と役割配分を向上させるガバナンス枠組みの探求にコミットしています。この参加型アプローチは、韓国の以前の憲法改正過程とは大きく異なる特徴を示しています。
戦略的アプローチ:専門委員会や特別委員会の設置見送り
注目すべき戦略的決定として、国政企画委員会は憲法改正のための別途のタスクフォースや特別委員会を現在設置する計画がないと発表しました。趙承来報道官は、李在明大統領の5月18日の憲法改正提案が既に十分に詳細で包括的であるため、この段階で追加の専門機関は不要だと説明しました。
このアプローチは、政府組織改編のような他の主要イニシアチブに専門タスクフォースを配置した委員会の対応とは対照的です。この決定は、憲法改正が重要であるにもかかわらず、他の緊急政策課題と同じレベルの優先順位を受けていない可能性を示唆しています。
委員会のアプローチは、憲法改正の重要性と資源配分および政治的実現可能性に関する実用的考慮事項のバランスを取る慎重な戦略を反映しています。既存の委員会構造に憲法改正議論を統合することで、政府はこの複雑な政治的事業に対してより段階的なアプローチを取っているように見えます。この決定は、韓国における憲法改正を取り巻く政治的敏感性に対する理解も反映している可能性があります。
実施スケジュールと課題
李在明大統領は憲法改正について野心的なスケジュールを提案し、国民投票を早ければ2026年の地方選挙、遅くとも2028年の国会議員総選挙で実施することを示唆しました。このスケジュールは、憲法改正が公的議論と立法過程に相当な時間を要することを政府が認識していることを反映しています。
しかし、憲法改正の実施には重大な課題があります。このプロセスには国会の3分の2の承認と国民投票での過半数の賛成が必要です。現在の立法府の政治的構成と幅広い合意の必要性を考慮すると、これらの基準を達成するには広範な政治的交渉と国民説得が必要になります。
委員会は憲法改正のタイミングと手続きが慎重な検討を要することを認めています。この慎重なアプローチは、政府が憲法改正にコミットしているものの、国家の統治構造にこのような根本的な変化をもたらすことに関わる複雑な政治的力学を認識していることを示唆しています。韓国の憲法改正試みに関する歴史的経験も、この慎重なアプローチに影響を与えています。
世論と政治的含意
憲法改正イニシアチブは重要な国民の関心と政治的議論を生み出しています。調査によると、韓国国民の大多数が再選可能な4年大統領任期制の概念を支持しており、これを民主的責任の向上と権力集中の削減の手段として見ています。しかし、野党と一部の憲法学者は、大統領権力の拡大の可能性と民主的ガバナンスへの影響について懸念を表明しています。
批判者たちは、現在の5年単任制が権力集中を防ぎ、定期的な政治的移行を確保するために設計されたと主張しています。政府の市民参加と透明なガバナンスプロセスへの強調は、これらの懸念に対処し、憲法改正に対するより幅広い国民支持を構築するために設計されているように見えます。
市民団体を関与させ、民主的原則を強調することで、政府は憲法改正を権力掌握ではなく民主的向上として位置づけようと努力しています。このイニシアチブの成功は、政府が国民の信頼を維持し、提案された変更が狭い政治的目標ではなく、より広い公共の利益に資することを実証する能力にかかっているでしょう。国際社会と民主的観察者の反応も、これらの改革の認識される正当性において重要な要因となるでしょう。