仁川で50代男性が飲酒運転で防護壁に衝突、周辺車両2台も被害―韓国社会で再燃する飲酒運転議論

仁川で発生した飲酒運転事故、その夜何が起きたのか
皆さんはご存知でしたか?2025年6月13日、仁川・ミチュホル区の道路で50代男性A氏がベンツを飲酒運転し、防護壁に衝突する事故が発生しました。午後9時10分ごろ、A氏の車は制御を失い壁に激突。その衝撃で後続車がA氏の車に追突し、飛び散ったタイヤがさらに近くの別の車両にも被害を及ぼしました。計3台の車が損傷しましたが、幸いにも負傷者はいませんでした。現場に駆け付けた警察がA氏の血中アルコール濃度を測定したところ、0.08%以上という免許取消相当の数値が出ており、A氏は道路交通法違反で在宅起訴されました。
韓国の飲酒運転事情と最近の重大事故

実は韓国では飲酒運転による事故が後を絶ちません。2024年から2025年にかけて、仁川やソウルなど各地で飲酒運転による重大事故が相次いで報道されています。例えば2024年12月にはソウル地下鉄駅付近で乗用車が防護壁を突き破り列車と衝突した事件が発生し、2025年5月には仁川で飲酒運転取り締まりから逃走した50代男性がパトカーや複数の車両に次々と衝突する事件もありました。こうした事件の多くで、加害者の血中アルコール濃度は免許取消基準を大きく上回っており、社会的な怒りや厳罰化要求が高まっています。
韓国ネットコミュニティの反応―怒りと失望、そして厳罰化の声
韓国の主要オンラインコミュニティ(더쿠、네이트판、인스티즈、네이버、다음、디시인사이드、에펨코리아、PGR21)では、今回の事故に対し「また飲酒運転か」「お金持ちでも関係ない、命を軽視している」「なぜ再犯者に執行猶予が出るのか」など、強い非難の声が噴出しています。特に、過去に何度も飲酒運転で摘発された加害者が再び事故を起こしても執行猶予が付く判決には「司法は甘すぎる」「もっと厳しく罰すべき」というコメントが多数寄せられています。また、「飲酒運転は殺人未遂と同じ」「一生免許を与えるな」といった極端な処罰を求める声も目立ちます。
飲酒運転を巡る韓国の法制度と社会的背景
韓国では2018年の「ユン・チャンホ法」施行以降、飲酒運転に対する罰則が大幅に強化されました。血中アルコール濃度0.03%以上で免許停止、0.08%以上で免許取消、再犯や重大事故の場合は実刑判決も増えています。しかし、現場では執行猶予や罰金刑が多く、再犯防止には不十分との指摘が絶えません。韓国社会では「회식」(会社の飲み会)文化が根強く、飲酒後の移動を安易に考える傾向が残っていることも背景の一つです。最近はタクシーや代行運転サービスの利用が増えているものの、地方では交通インフラの未発達も課題です。
芸能人や有名人の飲酒運転事件が社会に与える影響
BTSのSUGAが兵役中に飲酒状態で電動キックボードを運転し摘発された事件も記憶に新しいです。韓国では電動キックボードも道路交通法上「原動機付き自転車」と同等に扱われ、飲酒運転で免許取消や罰金が科されます。こうした有名人の事件が報じられるたびに、一般市民の間でも「自分も大丈夫だろう」という油断が危険だと再認識され、SNSやブログで「飲酒運転は絶対に許されない」という意識が広がっています。
日本と韓国の飲酒運転に対する法制度・社会意識の比較
日本でも飲酒運転は厳罰化が進み、社会的な非難も強いですが、韓国では繰り返しの違反や執行猶予判決が問題視されています。ネット上では「韓国の法水準は低すぎる」「なぜ再犯者に甘いのか」といった批判が多数見られます。専門家は「強力な処罰と厳正な法執行、そして社会全体の意識改革が不可欠」と指摘しています。飲酒運転事故の被害者や遺族が声を上げることで、今後さらなる法改正や社会的な変化が期待されています。
今後の課題と社会的な変化の兆し
今回の仁川事故をきっかけに、韓国社会では飲酒運転に対する厳罰化や再犯防止策、飲酒文化そのものの見直しを求める声が一層強まっています。警察や司法も世論を受けて対応を強化する動きが見られますが、根本的には「飲んだら絶対に運転しない」という社会的合意と、企業や地域社会全体での啓発活動が不可欠です。皆さんも韓国の飲酒運転問題を通じて、交通安全と社会の責任について改めて考えてみてはいかがでしょうか。