台湾作家が続々来日!2025年ソウル国際図書展で500冊超の作品展示と多彩な交流プログラム

台湾が2025年ソウル国際図書展の主賓国に
2025年6月18日から5日間、ソウル・江南のCOEXで開催されるソウル国際図書展にて、台湾が主賓国として参加。84の出版社が選んだ約500冊の書籍が6つのテーマに分けて展示され、23名の台湾作家が来韓し、講演やワークショップなど計62のプログラムで読者と交流する。これは台湾文学の多様性と文化的活力を韓国に紹介する重要な機会となっている。
クィアやフェミニズムを扱う台湾文学の新潮流

今回の図書展に合わせて翻訳出版された台湾小説には、韓国文学でも注目されているクィアやフェミニズムのテーマを扱った作品が目立つ。代表的作家の陳雪(チェン・シュエ)の短編集『悪女書』は、著者の性的アイデンティティを反映し、女性の性的欲望や同性間の愛をリアルに描写。1995年に台湾で刊行され、過激な描写で絶版となったが、韓国での出版は大きな話題となっている。また、劉子瑜(リュウ・ズーユー)の『女神ビュッフェ』は、男性優位の職場で奮闘する女性たちを描き、フェミニズムの反動をテーマにしている。
個人的体験と社会批評を織り交ぜた多彩な作品群
呉小児(ウー・シャオアー)の短編集『あなたの四人の子どもはあなたの四人の子どもではない』は、学歴競争や過度な塾通いを背景に、著者の7年間の家庭教師経験を基にした9編の短編を収録。鄧菊雲(トウ・ジュウン)の長編『脇役女優』は、韓国の女優チョン・ジヒョンに似ていることから代役を務めた経験を持つ著者の個人的体験をもとに、常に脇役に甘んじる主人公の喪失感と成長を描く。ロックバンドのボーカルで小説家の張家祥(チャン・ジャシャン)のデビュー作『夜の神が降りてくる』は、台湾の田舎を舞台に、夜の神が降臨する幻想的な物語を展開し、故郷への郷愁と新天地への旅立ちを映し出している。
韓国でも知られる台湾の著名作家と歴史的・社会的共通点
2018年に台湾人として初めてブッカー国際賞の最終候補となった呉明益(ウー・ミンイー)の『盗まれた自転車』、郭強生(グオ・チャンシェン)の『ピアノ調律師』、陳思宏(チェン・スーホン)の『幽霊の土地』など、韓国で既に翻訳出版されている作家も今回の図書展に参加。日本統治時代の主権侵害や急速な産業化・都市化、教育熱など、韓国と台湾は歴史・社会的に類似点が多く、文学作品にも共感を呼ぶ要素が多い。一方で、気候や地理的条件の違いから独特の文化的風土も感じられ、読者の興味を引いている。
韓国の読者・コミュニティの反応と文化的交流
ネイバーやティストリーなど韓国のオンラインコミュニティでは、台湾文学の翻訳出版に対し高い関心が寄せられ、翻訳の質の高さやテーマの先進性が評価されている。特に性やジェンダー、社会問題に踏み込んだ作品に対しては称賛の声が多く、台湾文化への理解と興味を深める機会となっている。図書展はこうした交流の場として、両国の文化的な架け橋となっている。
今後の展望:台湾・韓国の文学交流の深化
2025年のソウル国際図書展を契機に、台湾と韓国の出版・映像・デジタルメディア分野での協力が一層進む見込み。台湾の文化コンテンツ機構(TAICCA)や台北国際書展財団が積極的に支援し、台湾文学の国際的な発信力を高めている。韓国の読者には、伝統と現代性、自由と多様性が融合した台湾文学の魅力をぜひ体験してほしい。
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