保守団体が味方のはずのモース・タン氏を告発!?真の狙いは陰謀論の拡散か国格守護か

衝撃!保守の味方が保守を告発する異常事態
皆さんは想像できますか?同じ政治的立場の人同士が敵対し合うという、まさに韓国政界の複雑さを象徴するような事件が起きているんです。トランプ政権時代に米国務省で国際刑事司法大使を務めたモース・タン氏(韓国名:タン・ヒョンミョン)が、なんと韓国の保守団体から名誉毀損で告発されるという前代未聞の事態が発生しました。
この事件の主役であるモース・タン氏は、現在リバティ大学法科大学院の教授として活動しており、韓国の保守派からは「アジアのドナルド・トランプ」と呼ばれる尹錫悦前大統領の熱烈な支持者として知られています。しかし、2025年6月26日にワシントンD.C.で開催された国際選挙監視団の記者会見で、李在明大統領について「青少年時代に集団性暴行・殺人事件に関与して少年院に収監された」という発言を行ったことが問題となりました。
この発言を受けて、2017年に朴槿恵元大統領の弾劾に反対する勢力が結集して作った「自由大韓護国団」が7月8日に警察に告発状を提出したのです。同団体は2020年から「不正選挙」を主張し、12・3非常戒厳令を「自由民主主義と憲政秩序守護のための最小限の防御的措置」として擁護してきた典型的な保守強硬派です。それなのに、なぜ同じ保守派のモース・タン氏を告発したのでしょうか?
モース・タン氏って一体何者?トランプ政権の元高官が韓国政治に介入

モース・タン氏の経歴を見ると、その影響力の大きさがよく分かります。彼は韓国系アメリカ人として生まれ、連邦検察官を経てトランプ政権時代には国務省で国際刑事司法担当大使という要職を務めました。現在はリバティ大学法科大学院の学長として活動しており、国際法・人権・北朝鮮問題の専門家として知られています。
特に注目すべきは、彼が韓国の政治情勢に深く関与していることです。尹錫悦前大統領を「アジアのドナルド・トランプ」と呼んで支持し、昨年12月3日の非常戒厳令宣言についても「民主主義を守るための必要な措置」として擁護してきました。2025年7月には韓国を訪問し、ソウル大学での講演を予定していましたが、学生たちの反発により大学側が会場使用を拒否したため、正門前で演説を行うという異例の事態となりました。
彼の発言は韓国国内だけでなく、アメリカの政治界にも影響を与える可能性があります。なぜなら、彼はトランプ元大統領からの信頼も厚いとされており、今回の発言がアメリカの韓国に対する認識に影響を与える可能性があるからです。実際、与党側は彼の発言を「韓国の国際的な威信を傷つける行為」として強く批判しており、出国禁止や強制退去を求める声も上がっています。
自由大韓護国団の正体と矛盾だらけの行動パターン
今回モース・タン氏を告発した「自由大韓護国団」という団体について詳しく見てみましょう。この団体は2017年に朴槿恵元大統領の弾劾に反対する勢力が結集して作られた典型的な保守強硬派団体です。オ・サンジョン代表が率いるこの団体は、2020年から一貫して「不正選挙」を主張し続けており、昨年の尹錫悦大統領の非常戒厳令宣言も「自由民主主義と憲政秩序守護のための最小限の防御的措置」として擁護していました。
さらに驚くべきことに、この団体は過去に李在明大統領を一般内乱罪などの容疑で何度も告発してきた経歴があります。つまり、李在明大統領の政敵として活動してきた団体が、なぜ李在明大統領を批判するモース・タン氏を告発したのかという疑問が浮上するのです。これは一般的な政治的論理では説明がつかない行動パターンです。
オ・サンジョン代表は連合ニュースとの電話インタビューで「タン教授が発言してから10日が経過しても大統領室と与党が明確な立場を表明せず、一般国民がこの主張を広めている状況」だと説明し、「第2の(虚偽事実流布)被疑者が出る可能性があり、大韓民国の国格とも関係がある問題だ。そのため迅速な捜査を求める」と主張しました。しかし、この説明だけでは多くの人が納得できない状況です。
陰謀論の真相:2021年に既に虚偽と判明した疑惑の復活
モース・タン氏が言及した李在明大統領の青少年時代の疑惑は、実は新しい話ではありません。この陰謀論は韓国の保守派の間で長年にわたって流布されてきたもので、2021年に検察によって虚偽であることが正式に判明しています。当時、この虚偽情報を流布した人物は罰金刑を受けており、法的にも決着がついた問題でした。
具体的には、李在明大統領が青少年時代に「集団性暴行・殺人事件に関与して少年院に収監された」という内容ですが、李在明大統領が選挙管理委員会に提出した公的記録を見ると、虚偽告発、公務員身分詐称、酒気運転などの軽微な違反で罰金を受けた記録はあるものの、暴力犯罪や少年院収監に関する証拠は一切存在しません。
それにもかかわらず、モース・タン氏がワシントンD.C.の記者会見でこの既に論破された陰謀論を再び持ち出したことは、韓国の政治的混乱を国際社会に拡散させる行為として批判されています。特に、元米国政府高官という肩書きを持つ彼の発言は、一部の聴衆に対して不当な信頼性を与える可能性があり、国際関係にも悪影響を与える恐れがあります。
ソウル大学での講演騒動と学生たちの反発
2025年7月、モース・タン氏の韓国訪問は大きな論争を巻き起こしました。彼はソウル大学で特別講演を行う予定でしたが、学生団体の強い反発により大学側が会場使用を拒否する事態となりました。学生たちは彼を「韓国の民主主義秩序を損なう人物」として非難し、「大統領の名誉を毀損する行為」に対して抗議の声を上げました。
結局、ソウル大学は「教育や研究活動に支障をきたす恐れがある」という理由で講演会場の使用を許可しませんでした。しかし、モース・タン氏は屈することなく、大学の正門前で演説を行いました。この屋外での演説には支持者と抗議者の両方が集まり、緊張した雰囲気の中で行われました。
この事件は韓国社会における外国人の政治介入に対する敏感な反応を示しています。学生抗議者たちは「韓米同盟を極右政治目的で悪用している」と批判し、外国人による韓国政治への過度な介入に対する懸念を表明しました。元米国政府高官が韓国の民主的に選出された大統領に対して陰謀論を積極的に広めるという行為は、国際政治的関与の適切な境界線について重要な疑問を提起しています。
警察捜査の現状と法的複雑性
現在、この事件はソウル警察庁サイバー捜査隊に配分されており、警察はまだ告発内容を検討中です。しかし、この捜査には複雑な法的課題が存在します。まず、被疑者であるモース・タン氏が既にアメリカに帰国したため、実質的な捜査活動が困難な状況です。
与党を中心に出国禁止や強制退去措置を求める声が高まっていますが、彼の元米国政府高官という地位を考慮すると、外交的な配慮が必要な状況です。また、この事件は政治的発言の自由と名誉毀損の境界線についても重要な法的問題を提起しています。民主主義社会において表現の自由は基本的な原則ですが、明らかに虚偽の情報を流布することは個人の名誉を保護する必要性と衝突します。
特に注目すべきは、尹錫悦前大統領がモース・タン氏との面会を要請したという点です。しかし、特別検察官が家族と弁護士以外との面会を禁止したため、この面会は実現しませんでした。これは事件の政治的な複雑さを更に浮き彫りにしています。
真の狙いは何?政略的意図vs国格守護の論争
最も興味深いのは、自由大韓護国団がモース・タン氏を告発した真の動機についての推測です。政治観察者の間では、この告発が「政略的意図」を持っている可能性が指摘されています。つまり、李在明大統領に対する陰謀論の捜査を要請することで、逆にその内容を公論化する効果を狙ったのではないかという分析です。
この解釈によれば、保守団体は表面上は虚偽情報に反対する立場を取りながら、実際には警察捜査を通じて陰謀論により多くの注目と信頼性を与えようとしている可能性があります。このような戦略は、法的システムを利用して虚偽情報を拡散させる洗練された政治的操作と言えるでしょう。
一方で、オ・サンジョン代表の「国格守護」という説明も完全に否定できません。韓国の保守派が尹錫悦前大統領の弾劾後に政治的再建を図る過程で、最も極端な要素から距離を置こうとしている可能性もあります。明らかに虚偽の情報を流布する外国人活動家を含む連合の最も過激な部分から自分たちを切り離そうとしているのかもしれません。この複雑な政治的駆け引きは、韓国の保守運動内部の深刻な分裂を反映している可能性があります。