ドローン司令官炎上中:平壌無人機作戦を巡る13時間の特検調査が韓国政治を揺るがす

Jul 21, 2025
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ドローン司令官炎上中:平壌無人機作戦を巡る13時間の特検調査が韓国政治を揺るがす

13時間のマラソン調査が韓国を震撼させた夜

2025年7月17日、韓国政治史上最も緊張に満ちた調査の一つが行われました。金龍大(キム・ヨンデ)ドローン作戦司令官が、12・3戒厳令関連の内乱・外患事件を捜査する特別検察チームによって13時間30分にわたる徹底的な調査を受けたのです。

午後11時35分、ソウル高等検察庁の建物から疲れ切った表情で出てきた金司令官は、待機していた記者団に向かって力強く主張しました。「(無人機作戦は)北朝鮮のゴミ風船対応が目的だっただけで、発覚する目的は全くなかった」。この発言は、韓国の軍事・政治界に大きな波紋を呼んでいます。

金司令官は一般利敵・虚偽公文書作成・職権乱用などの容疑で被疑者調査を受けました。これらの容疑は単なる軍事規律違反を超えて、韓国の国家安全保障と民主主義の根幹に関わる深刻な問題として浮上しています。韓国のオンラインコミュニティでは、この事件が韓国現代史における最も重要な政治的転換点の一つになる可能性があると議論されています。

疑惑の三者会談と証拠の攻防戦

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特検チームが調査で最も重視したのは、昨年9月に行われたとされる金龍大司令官、金容炫前国防部長官、尹錫悦前大統領の「三者会談」の実在性でした。この会談で平壌無人機投入作戦が密かに計画されたのではないかという疑惑が核心となっています。

しかし、金司令官はこの疑惑に対して強力に反駁しました。「会談がなかったということを国防部出入記録を通じて証明した」と述べ、「出入り記録を見ると大統領室に行った記録はなく、国防部本庁出入り記録がある」と主張しました。この証言は韓国のネット上で大きな議論を呼んでおり、多くのユーザーが証拠の信憑性について疑問を投げかけています。

一方で、特検チームは金司令官が無人機投入作戦の危険性を事前に報告を受けていたという部下たちの証言を確保したと報じられています。報告を受けた金司令官が上級者と推定される誰かに「できないと言っています」と伝える声まで聞いたという内容で、これは金司令官が単独で行動していたのではなく、上部からの指示があったことを示唆する重要な証拠とされています。

緊急逮捕から構束令状却下まで:劇的な72時間

7月18日夜、金司令官の状況は急激に悪化しました。特検チームは金司令官の身辺安全問題を考慮して緊急逮捕を断行したのです。この決定は、証拠隠滅と逃走の恐れがあると判断したためとされています。

7月20日、特検チームは許偽公文書作成などの容疑で金司令官の拘束令状を請求しました。特検チームは構束心問に検事7名を投入するなど、この事件の重要性を示す異例の対応を見せました。しかし、7月21日午後3時にソウル中央地方法院で行われた拘束令状実質審査で、裁判部は「拘束事由と相当性を認めるのが困難だ」として令状を却下しました。

午後9時38分、金司令官はソウル拘置所から出所しました。薄水色のワイシャツ姿で、ビニール袋に荷物を入れて片手に持った金司令官は記者団に対して「今調査したこと以外には、これ以上出てくるものはないと思う」と語りました。この発言は、今後の捜査に対する彼の確信を示すものとして注目されています。

軍事作戦の裏に隠された政治的意図

特検チームの核心的な疑惑は、尹錫悦前大統領が昨年10月頃、戒厳令宣布の名分を作る目的で国防部と合同参謀本部を迂回してドローン司令部に平壌無人機投入を直接指示したというものです。この疑惑は韓国の軍事指揮体系の根幹を揺るがす重大な問題として浮上しています。

特検チームは、無人機投入作戦によって北朝鮮が京義線・東海線南北連結道路を爆破するなど南北間の武力衝突危険が増大し、墜落した無人機が北側に収去されることで軍事機密・装備が流出して韓国の軍事上の利益が阻害されたと見ています。さらに、対北作戦は合参を通じて国連軍司令部(国連司)承認を経なければならないにもかかわらず、このような手続きを無視したなら軍に対する職権乱用に該当すると判断しています。

特に注目されているのは、ドローン司令部が昨年上半期に西海北方限界線に無人機を異例なほど接近させて送ったという複数の軍関係者の証言です。作戦に参加した軍人たちは「通常的な偵察監視訓練ではなかった」と述べ、「西海北方限界線に接近すれば危険だ」と言ったにもかかわらず、上級者たちは「北韓動向を調べろ」という指示をしたと説明しました。

国防部の迅速な対応と社会的影響

7月21日、国防部は金龍大ドローン作戦司令官に対して職務停止のための分離派遣措置を断行しました。これは内乱特検捜査と関連した迅速な組織対応として注目されています。金司令官は現在、指揮職から事実上排除された状態で今後の捜査に臨むことになります。

この事件は韓国社会に深刻な衝撃を与えています。韓国のオンラインコミュニティやブログでは、この事件が単なる軍事作戦の問題を超えて、韓国民主主義の根幹に関わる重大な事件として認識されています。特に、軍事作戦が政治的目的のために悪用された可能性があるという点で、多くの市民が懸念を表明しています。

国際的にも、この事件は朝鮮半島の安定と韓国の民主主義制度に対する信頼に影響を与える可能性があります。韓国の主要同盟国である米国や日本も、この事件の推移を注意深く見守っていると報じられています。韓国政府は国際社会からの信頼回復のためにも、透明で公正な捜査を進める必要があると指摘されています。

今後の展望と韓国政治への影響

金司令官の拘束令状却下にもかかわらず、特検チームの捜査は続行される予定です。特検は却下事由を綿密に検討した後、拘束令状再請求の可否などを決定すると見られています。この事件は韓国の軍事・安保体制に対する根本的な検証を要求する声を高めており、今後の政治的波及効果が注目されています。

韓国の政治専門家たちは、この事件が韓国現代史において軍事と政治の関係を再定義する重要な転換点になる可能性があると分析しています。特に、文民統制(civilian control)の原則と軍事作戦の政治的中立性に関する議論が本格化すると予想されています。

また、この事件は2024年の選挙以降の韓国政治地形にも大きな影響を与える可能性があります。野党は政府の軍事作戦に対する政治的介入疑惑を強く追及する構えを見せており、与党は透明な捜査協力を通じて疑惑を晴らそうとしています。韓国国民は今後の捜査結果を通じて真実が明らかになることを期待しており、この事件は韓国民主主義の成熟度を試す重要な試金石となっています。平壌無人機事件は単なる軍事作戦の問題を超えて、韓国社会全体が直面している政治的・制度的課題を浮き彫りにする象徴的な事件として記憶されることになりそうです。

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