もやもや病バイパス手術後の合併症リスクを解明!韓国発・脳自動調節指標VM_OIがもたらす新時代

もやもや病とは?韓国・日本で注目される理由
みなさん、もやもや病って知っていますか?この病気は脳に血液を送る動脈が原因不明で狭くなり、代償的に異常な血管網(もやもや血管)が発達する難治性疾患です。日本や韓国で患者数が多く、成人では脳出血や脳梗塞のリスクが高いことで知られています。標準治療はバイパス手術(血管吻合術)ですが、手術後の合併症が大きな課題となっています。
最近の韓国の統計では、成人患者の増加が続き、社会的な関心も高まっています。
バイパス手術と過灌流症候群:なぜ起こる?

もやもや病のバイパス手術は、頭皮や側頭動脈を脳表の血管に直接つなぐ高度な技術が必要です。手術直後は脳血流が急増し、脳の自動調節機能が追いつかないと過灌流症候群(HPS)が発生します。HPSは頭痛、けいれん、一時的な神経症状、重症例では脳出血や後遺症を引き起こすことも。成人患者の3~5割が経験する深刻な合併症で、術後の経過観察と早期発見が重要です。
韓国チームが開発した新指標VM_OIとは?
2025年、ソウル大学病院と高麗大学の研究チームが、脳自動調節機能を評価する新しい指標「VM_OI(バルサルバ過反応指数)」を開発しました。これは経頭蓋超音波で血圧と脳血流速度を測定し、脳が血圧変動にどれだけ適応できるかを数値化するものです。研究では、過灌流症候群を発症した患者は手術前後ともにVM_OIが低く、脳の自動調節機能が著しく低下していることが明らかになりました。この成果は国際学術誌『Scientific Reports』に掲載され、世界的にも注目されています。
VM_OIの臨床的意義と今後の展望
VM_OIは、手術前からリスクの高い患者を予測できる画期的な指標です。実際、過灌流症候群を発症した患者のVM_OIは手術前12.345、手術後15.819と、非発症群(19.757、20.656)より明らかに低値でした。さらに、術後時間の経過とともにVM_OIが回復傾向を示し、過灌流症候群が一時的かつ可逆的であることも示唆されました。この知見は、術後管理やリハビリ計画の個別化にも役立つと期待されています。
追加研究で明らかになったリスク因子
韓国チームはさらに、成人患者56名の術前画像と臨床データを解析し、過灌流症候群のリスク因子を特定しました。主な3つは「側頭葉・前頭葉の血管反応性低下」「術前の神経障害」「優位半球(多くは左脳)での手術」です。これらの因子を組み合わせることで、より精度の高いリスク評価が可能となり、術前カウンセリングや術後フォローの質向上につながっています。
コミュニティ・患者ブログの反応と体験談
日本や韓国の医療系ブログやコミュニティ(Naver、Tistoryなど)では、実際に手術を受けた患者や家族の体験談が多く投稿されています。「手術後に頭痛やけいれんが続いたが、医師の迅速な対応で回復できた」「VM_OI検査でリスクを事前に知ることができて安心した」など、肯定的な声が増えています。一方で、「地方では高度な検査や治療が受けにくい」「術後の不安が大きい」といった課題も指摘されています。コミュニティでは、術後の経過観察やリハビリの重要性、家族のサポート体制についても活発に議論されています。
文化的背景と東アジアでのもやもや病の位置づけ
もやもや病は日本発祥の病名で、東アジアに多いことから、患者・家族・医療者のネットワークが活発です。韓国では国の研究支援も手厚く、最新の診断・治療法が積極的に導入されています。患者会やSNSでは、最新研究への期待や、保険適用拡大、医療格差の是正を求める声も多く見られます。海外の患者にとっても、韓国・日本の経験や知見は大きな参考となっています。
高解像度MRIによる新知見と今後の課題
韓国の研究チームは、特別な高解像度MRIを用いて、過灌流症候群発症時に血液脳関門(BBB)障害が生じることも発見しました。これは合併症の新たなメカニズム解明につながり、今後の治療法開発や予防策の進展が期待されています。一方で、地方医療機関での検査体制や、長期フォローアップ体制の整備など、現場の課題も残されています。
まとめ:国際読者へのメッセージ
もやもや病は希少かつ重篤な疾患ですが、韓国・日本の最新研究により、手術後合併症の予測と管理が大きく進歩しています。VM_OIなどの新指標やリスク因子の特定は、個別化医療の実現に向けた大きな一歩です。患者・家族・医療者が連携し、情報共有とサポート体制を強化することで、より良い予後とQOL向上が期待できます。今後も国際的な研究協力と患者コミュニティの発展が重要です。