イスラエルからエジプトへ――韓国人45人の緊急退避、その舞台裏と韓国社会の反応

イスラエルからエジプトへ――45人の韓国人が無事退避、その全貌
みなさんはご存じでしたか?2025年6月23日、イスラエルに滞在していた韓国人44人と韓国系米国人1人が、韓国政府の支援でバスに乗りエジプトへ無事退避しました。この緊急退避は、在イスラエル韓人会や現地大使館、在エジプト韓人会の緊密な連携によって実現。イスラエルの韓人会が退避希望者をまとめ、大使館がバスで国境まで同行し、出国手続きとカイロへの移動、ホームステイの手配まで一貫してサポートしました。現地の韓人会ネットワークがいかに危機時に力を発揮するか、今回のケースであらためて注目されています。
イラン・イスラエル・米国の軍事衝突――退避の背景にある中東危機

この退避劇の背景には、急激に悪化した中東情勢があります。6月13日、イスラエルはイランの核施設3カ所(フォルド、ナタンズ、エスファハン)に大規模空爆を実施。米国もB-2爆撃機を使い、イラン核施設への攻撃を敢行しました。これに対しイランは、カタールやイラクの米軍基地にミサイル攻撃で報復。カタールの米軍基地では迎撃に成功し死傷者は出ませんでしたが、地域全体が一触即発の緊張状態となりました。韓国政府はイスラエル・イラン両国への渡航警報を「3段階(出国勧告)」に引き上げ、現地韓国人に迅速な退避を呼びかけています。
韓国政府・大使館・韓人会の連携プレー、その舞台裏
イスラエル現地の韓人会は、危機発生直後から退避希望者のリストアップを開始。大使館は政府のバスを手配し、国境まで同行して出国手続きをサポート。エジプト到着後は現地大使館と韓人会がホームステイや航空券手配など生活面まで支援しました。ネイバーブログ等でも「外交通商部と現地公館の迅速な対応が命を守った」「韓国政府の危機対応マニュアルが機能した」と高評価の声が多く見られます。2021年アフガニスタンの協力者救出作戦でも同様のネットワークが活躍しており、韓国の海外危機管理の強さが再認識されています。
韓国コミュニティ・SNSの反応――安心と誇り、そして不安も
DCインサイドやエフエムコリア、ネイバー、ティストリーなどのコミュニティでは「政府と韓人会の連携が素晴らしい」「海外で韓国人同士が助け合う姿に感動」といった肯定的な反応が多数。一方で「まだ現地に残る人々が心配」「中東情勢が不安定すぎる」といった不安の声も。特に、過去の危機対応と比較して「今回は迅速だった」「教訓が生かされている」と評価する投稿が目立ちます。
イランの報復と米軍基地攻撃――現地・世界の緊張感
イラン革命防衛隊は「米国の核施設攻撃は明確な国際法違反」と非難し、「後悔する反応を覚悟すべきだ」と米国に警告。実際、カタールの米軍基地には6発のミサイルが発射されましたが、事前に米・カタール両政府に通告し、被害を最小限に抑える「調整型報復」だったと報じられています。これは全面戦争を避けるためのイラン側の苦肉の策と分析されており、現地の緊張感は依然として高いままです。
韓国国内の政治動向――戒厳令・大統領弾劾・李在明政権の船出
イスラエル退避の話題と並行して、韓国国内では大きな政変が進行中。2024年12月、尹錫悦大統領が非常戒厳令を発動し、国会・選管に軍を投入した「12・3事件」で2025年4月に弾劾・罷免。4月以降、李在明新大統領が就任し、経済再建と国民統合を掲げています。ネイバーやティストリーのブログでも「政治の混乱と外部危機が重なる中、政府の危機管理能力が問われている」との指摘が多く、国民の関心は高まっています。
文化的背景――なぜ韓国の海外コミュニティは強いのか?
韓国の海外コミュニティ(韓人会)は、単なる親睦団体に留まらず、危機時には現地大使館と連携して情報共有・避難・生活支援まで担う存在です。アフガン撤収や今回の中東危機でも、その組織力と結束が多くの命を救いました。韓国社会では「海外でも助け合う」「政府と民間が一体で動く」文化が根付いており、これが国際社会でも高く評価されています。海外在住の韓国人にとって、韓人会はまさに「命綱」となっています。
今後の展望――中東危機と韓国社会の課題
中東情勢は依然として予断を許さず、イラン・イスラエル・米国の対立が続く限り、さらなる退避や危機対応が求められます。李在明政権は経済再建とともに、国際社会との協調や危機管理の強化を掲げており、今後も政府・コミュニティ・国民が一体となった対応が期待されています。海外にいる韓国人読者にとっても、「危機時に頼れるネットワーク」の重要性を再認識する機会となりました。