ロッテベンチャーズが韓国フードテック革命を牽引!「未来食卓」7社とAFPRO 2025に出撃

Jul 24, 2025
テクノロジー/ビジネス
ロッテベンチャーズが韓国フードテック革命を牽引!「未来食卓」7社とAFPRO 2025に出撃

韓国がアジアのフードテック革命の震源地に

皆さんは韓国が現在、アジアの食品イノベーションの震源地となっていることをご存知でしたか?2025年7月16日から18日まで、ソウルのCOEXで開催された「2025農食品テックスタートアップ創業博覧会(AFPRO 2025)」は、単なる展示会を超えた歴史的なイベントとなりました。

今回の博覧会で特に注目を集めたのは、ロッテグループの企業主導型ベンチャーキャピタル(CVC)であるロッテベンチャーズが、同社の代表的なフードテックオープンイノベーションプログラム「未来食卓(미래식단)」に選定された有望スタートアップ7社と共に参加したことです。

AFPRO 2025は農林畜産食品部が主催し、韓国農業技術振興院、NH農協、COEXが共同主管する国内最大規模の農食品分野スタートアップイベントで、200余りの企業が359のブースで参加しました。スマート農業、フードテック、グリーンバイオなど先端技術を基盤とした様々な革新企業が一堂に会し、韓国の未来食料産業の方向性を提示する場となったのです。

これまでのAFPRO開催実績を見ると、累計500余りの企業が参加し、229億ウォン規模の投資と200億ウォン以上の売上成果を上げており、農食品分野の技術創業エコシステムを繋ぐ実質的プラットフォームとして位置づけられています。

「未来食卓」プログラム:大企業とスタートアップの革新的融合

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ロッテベンチャーズの「未来食卓」プログラムは、単純な投資を超えた革新的なアプローチで注目を集めています。このプログラムは韓国農業技術振興院、創業振興院の協力の下で運営され、ロッテ中央研究所、ロッテウェルフード、ロッテ七星飲料、ロッテホテル、コリアセブン、ロッテホームショッピング、ロッテGRS、ロッテ免税店など多様なロッテ系列会社が直接メンターとして参加しています。

このプログラムの最大の特徴は、選定されたスタートアップが最大1億ウォンのPoC(技術検証)資金を受けるだけでなく、実際にロッテグループ系列会社との実質的な協業機会を得られることです。これは韓国企業文化の「정(ジョン)」という概念を反映したもので、単なる取引関係を超えた長期的なパートナーシップを構築することを意味します。

ロッテベンチャーズのオープンイノベーションチーム朴俊英チーム長は「AFPRO展示は未来食卓参加企業にとって市場反応を直接体験できる貴重な機会」だとし、「ロッテベンチャーズは今後も国内フードテックスタートアップの技術が現実市場で成功的に定着できるよう実質的な連携を継続する」と述べています。

特に注目すべきは、選定企業が年末まで実質的な協業モデルをロッテグループと共に構築し、来る11月に開催される最終デモデイでその結果が公式発表される予定だということです。

7つの革新スタートアップが描く食の未来

今回AFPRO 2025に参加した「未来食卓」選定企業7社は、それぞれ独特な革新性を持っています。5期選定企業4社の中で最も注目を集めているのがロマンシブ(Romansive)です。この企業は個人맞춤型睡眠食品を開発する会社で、最近ロッテホテルソウルと協業して睡眠特化宿泊パッケージ「スリープケーション」を披露し話題となりました。これはスタートアップ技術と大企業インフラの成功的融合事例として評価されています。

マンスリーウィークリー(Monthly Weekly)は、ブランドIP基盤酒類PBワンストップソリューションを提供するスタートアップで、酒類市場に新しい流通及び企画方式を提示しています。韓国の深く根付いた飲酒文化(ソジュや회식文化など)を尊重しながらも、現代的なイノベーションを加えたアプローチが特徴的です。

環境問題に直接取り組むナヌ(Nanu)とABBRも注目に値します。ナヌは使い捨てプラスチックを代替する環境にやさしいパルプ容器及びパッケージングソリューション開発企業として、ESGトレンドに合った持続可能なパッケージング代案を提供しています。ABBRはビール副産物を活用したアップサイクリング基盤の持続可能な代替コーヒー事業を推進し、食品資源の循環経済実現に先頭に立っています。

卒業企業3社も革新的な製品を展開しています。バイオコムは無糖韓食ブランド「ゼロ밥상」、ケト弁当「チームキト」、プレミアムコーヒーブランド「ザクリーンコーヒー」などを運営し、多様な健康食食事ソリューションを提案しています。

韓国オンラインコミュニティの熱い反応

AFPRO 2025でのロッテベンチャーズの参加は、韓国のオンラインコミュニティで大きな話題となりました。ネイバーやダウム、ディシインサイドなどの主要コミュニティでは、この取り組みに対する様々な反応が見られました。

ポジティブな反応としては、「ついに韓国の大企業がスタートアップとの協業の重要性を理解し始めた」「ロッテの長期的ビジョンと持続可能性への取り組みが印象的」といったコメントが多く見られました。特にABBRのビール廃棄物を活用したコーヒーについては、「食品廃棄物問題の革新的解決策」として高く評価されています。

一方で、批判的な声もありました。インスティズやディシインサイドの一部ユーザーからは、「スタートアップの独立性が損なわれるのではないか」「大企業の下請け化が心配」といった懸念も表明されました。これは韓国のスタートアップエコシステムでよく見られる、革新性と安定性のバランスに関する議論を反映しています。

また、YouTube上でのAFPRO 2025ライブ中継では、「農業にも先端技術が接木されていることを知って有益だった」「気候危機で食卓上の食べ物にも影響が及ぶ中、今回の展示会で多くのインサイトを得られそう」などのコメントが寄せられ、一般市民の関心の高さを示しています。

文化的背景:韓国の「빨리빨리」文化とフードテック革新

今回の「未来食卓」プログラムの成功を理解するためには、韓国特有の文化的背景を知る必要があります。韓国の「빨리빨리(パリパリ)」文化は、迅速な意思決定と実行を重視する社会的特性を表しており、これがスタートアップエコシステムにも大きな影響を与えています。

韓国の食文化には「약식동원(薬食同源)」という概念があり、食べ物と薬は同じ根源から来るという考え方が根深く浸透しています。これは現代のウェルネス食品トレンドと完璧に一致し、ロマンシブのような睡眠改善食品やバイオコムの健康食品への関心増大につながっています。

また、韓国社会は急速な高齢化と1人世帯の増加という人口構造変化を経験しており、これらの社会的課題に対応する食品ソリューションへの需要が高まっています。「未来食卓」プログラム参加企業の多くが、こうした社会学的課題に直接取り組んでいることは偶然ではありません。

海外の読者が特に理解すべき点は、韓国のフードテック革新が単なる技術革新ではなく、深い文化的伝統と現代的必要性の融合であるということです。例えば、バイオコムの「ゼロ밥상」は伝統的な韓国の「반상(バンサン)」文化を現代の健康ニーズに合わせて再解釈した事例です。

グローバル展開への野心:韓国発フードテックの世界進出

AFPRO 2025とロッテベンチャーズの取り組みは、韓国が単なる国内市場を超えてグローバルフードテック市場での地位確立を目指していることを示しています。グローバルフードテック市場は2024年約2,200億ドルと評価され、2030年まで年平均12.8%の成長率を記録すると予想されています。

韓国は先進的な技術インフラ、革新文化、そして成長するアジア市場への近接性により、この成長の重要な部分を占める完璧なポジションにあります。今回AFPRO 2025で紹介されたスタートアップは、韓国の問題だけを解決するのではなく、国際的にスケーラブルなソリューションを開発しています。

ABBRの代替コーヒーは、持続可能性が優先される地域、特にヨーロッパ市場で革命を起こす可能性があります。ナヌの環境にやさしいパッケージングは、プラスチック規制がますます厳しくなっているヨーロッパやアメリカ市場に輸出される可能性が高いです。

ロッテベンチャーズは、ロッテ免税店やその他のグローバル子会社を通じた国際ネットワークを活用し、韓国の革新と国際市場の間の橋渡し役を担っています。この「글로컬(グローカル)」アプローチ—グローバルな志向、ローカルな実行—は典型的に韓国的であり、多くの産業で成功を証明しています。

特に注目すべきは、今年初めて導入されたUNIDO(国連産業開発機構韓国投資振興事務所)主管の海外進出説明会とグローバルアクセラレーティング支援事業投資ネットワーキング行事が開催されたことです。これは韓国農食品創業企業の海外進出支援が一層強化されたことを意味します。

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