【海岸砂丘の再発見】② 人気スポット済州・月汀海岸、開発ラッシュで砂丘の70%が破壊

月汀海岸と海岸砂丘の概要
済州島の北東部、月汀里に位置する月汀海岸は、かつて海岸砂丘が数キロメートルにわたって続き、村の背後まで広がっていました。地元の人々はこの砂丘を「ハンモサル」と呼び、『砂が多い場所』を意味します。1967年の航空写真には、海から砂浜、砂丘、農地が自然に連続し、人工的な道路や建物のない豊かな自然景観が映し出されています。
観光ブームと開発の急増

2000年代初頭までは静かな農漁村だった月汀は、2010年代からSNSなどでその美しい海岸が話題となり、観光客が急増しました。これに伴い、2018年から2024年にかけて277棟の宿泊施設や店舗、住宅などの新築・増築が相次ぎました。1990年代に建設された海岸道路は砂丘の上に敷設され、道路沿いに建物が密集。これが砂丘の大規模な破壊を招いています。
砂丘破壊の環境影響
海岸砂丘は砂浜に砂を供給する重要な役割を担い、波の衝撃を和らげる自然の防波堤として機能します。しかし、砂丘の70%がわずか4年で失われ、砂の供給が途絶えたことで砂浜の面積も減少。2024年の海洋水産部の調査では、砂浜後背地の浸食リスクが満点の100点と判定され、海水浴場の存続が危ぶまれています。砂の流出が続けば、長期的には海水浴場としての機能を失う恐れがあります。
不動産価格の高騰とジェントリフィケーション
国土交通部のデータによると、月汀海岸近くの土地価格は2010年の3.3㎡あたり約6万2700ウォンから2022年には約426万ウォンにまで約67倍に跳ね上がりました。これにより地元の商店主が高騰する家賃を支えきれず離れるジェントリフィケーション現象も深刻化。観光客減少に伴い空き店舗も増え、地域経済の不安定化が懸念されています。
住民の声と地域の課題
住民の意見は分かれており、観光客の減少を心配しつつも環境保護の必要性を訴える声や、地価上昇や開発を歓迎する声があります。特に、嫌悪施設の拡張許可が観光客減少の要因と考える人もいます。環境団体は急速な開発による砂丘破壊を強く警告し、残された砂丘の保護政策を早急に実施すべきだと主張しています。
文化的・自然的背景
済州島の砂丘は火山活動に由来する独特の地質と、貝殻由来の石灰質砂で構成されており、他地域とは異なる自然環境を持ちます。また、砂丘周辺には世界自然遺産に登録された洞窟群や伝統的な農地景観が広がり、地域文化と深く結びついています。砂丘の消失は生態系だけでなく文化的価値の喪失にもつながります。
今後の展望と保全の必要性
月汀海岸は観光開発と自然保護の狭間に立っており、観光客減少の中で地域経済の再構築と環境回復が求められています。専門家は計画的な開発規制や砂丘の修復事業、持続可能な観光の推進を提案。月汀の美しい自然景観を守りつつ、地域の未来を見据えた取り組みが急務です。
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