元米国務省大使モース・タン「尹は監獄にいるべき人でない...李政権は反米・親中・親北」ソウル集会で爆弾発言

ソウル駅前を揺るがした爆弾発言の真相
皆さんは知っていましたか?元米国外交官の一人の発言が、韓国の政治界に巨大な波紋を呼んでいることを。7月18日、ソウル駅前広場で開催された集会で、モース・タン(韓国名:段現明)リバティ大学教授が衝撃的な発言を行いました。トランプ政権時代に国際刑事司法大使を務めた彼は、尹錫悦前大統領は監獄にいるべき人ではないと主張し、現在の李在明政権を反米・親中・親北政権だと激しく批判したのです。
この発言のタイミングは実に絶妙でした。同日、ソウル中央地方裁判所が尹前大統領の拘束適否審査請求を棄却した直後のことだったからです。タン教授の言葉は集会に集まった約4000名の参加者に強烈なインパクトを与え、韓国の政治的分裂をさらに深刻化させることとなりました。特に注目すべきは、彼が李大統領周辺で起きた不審死について言及し、捜査が必要だと主張した点です。
モース・タンとは何者か?その背景と影響力

モース・タン教授の正体を理解することは、今回の発言の重要性を把握するために不可欠です。韓国生まれの彼は、ドナルド・トランプ第45代大統領の第一期政権で国際刑事司法大使という要職に就いていました。現在はリバティ大学で教鞭を取る一方、韓国の選挙不正疑惑を主張する論者として知られています。
特に注目されるのは、彼が韓国の大統領選挙に中国が介入したという主張を繰り返し展開していることです。また、李在明大統領が少年院出身だという陰謀論も広めており、これらの発言により韓国の警察当局からも調査対象となっています。彼の発言が韓国の保守層に与える影響は決して小さくありません。元米政府高官という肩書きが、一部の韓国人にとって権威付けの役割を果たしているためです。
ソウル駅前に響いた4000人の怒号
7月18日のソウル駅前集会は、韓国政治の深刻な分裂を象徴する出来事となりました。自由大学などが主催したこの集会には、警察の非公式推計で約4000人が参加。参加者たちは鐘閣駅などに集合し、꽹과리(クェンガリ)と太鼓を打ち鳴らしながら、「不正選挙」「偽の大統領李在明は退陣せよ」などのスローガンを叫んで行進しました。
一方、同じ場所では進歩系YouTuber「政治一杯」などが主催する対抗集会も開かれ、参加者約40名が「モース・タン逮捕」などの口号を叫びました。幸い警察が両勢力の間に配置されていたため、直接的な衝突は回避されました。この光景は、現在の韓国社会がいかに深く分裂しているかを如実に示しています。特に外国人観光客にとっては、韓国の政治状況の複雑さを目の当たりにする機会となったでしょう。
オンラインコミュニティの激しい反応
タン教授の発言は韓国のオンラインコミュニティでも激しい議論を巻き起こしました。保守系のコミュニティやYouTubeチャンネルでは、彼の発言を支持する声が多く見られます。「ついに真実を語る人が現れた」「李在明の正体を暴露してくれた」といったコメントが相次いでいます。特に高齢層を中心とした保守支持者の間では、中国の影響力拡大への懸念と相まって、タン教授の主張に強い共感を示す人々が少なくありません。
一方、進歩系コミュニティや主流メディアでは強い反発の声が上がっています。ネイト・パン(Nate Pann)やDCインサイドなどの大型コミュニティでは、「外国人による内政干渉」「根拠のない陰謀論」として厳しく批判する書き込みが目立ちます。特に若い世代ほど、タン教授の主張に懐疑的な反応を示す傾向が見られます。この世代間の反応の違いは、韓国社会の政治的分裂がいかに複雑で根深いものかを物語っています。
法的調査開始と政治的波及効果
タン教授の韓国訪問は、単なる政治的発言を超えて法的問題にまで発展しています。ソウル警察庁サイバー捜査隊は、彼が銀平第一教会を訪問した際に李大統領の少年院収監説などに言及した事実について調査を開始しました。これは公人に対する名誉毀損の可能性を検討するためのものです。
さらに深刻なのは、この調査が元米政府高官に対するものだという点です。外交的な配慮も必要な状況で、韓国当局がどこまで踏み込んだ調査を行えるかは注目されています。一方、李在明大統領の支持率は依然として60%を超える水準を維持しており、タン教授の批判が直接的に政権に打撃を与えているとは言い難い状況です。しかし、保守層の結束を強める効果は確実にあり、今後の政治情勢に少なからぬ影響を与える可能性があります。
文化的背景から見る韓国政治の複雑さ
外国人にとってこの問題を理解するためには、韓国の独特な政治文化を知ることが重要です。韓国は朝鮮戦争以来、反共産主義と親米主義が保守派の核心的価値となってきました。一方、進歩派は南北統一への願いと社会正義の実現を重視する傾向があります。この根本的な価値観の違いが、現在の政治的対立の背景にあるのです。
特に高齢世代にとって、反米・親中・親北という批判は非常に強烈なものです。朝鮮戦争を直接体験した世代や、その子供世代にとって、北朝鮮や中国への接近は国家安全保障上の重大な脅威と映ります。タン教授の発言がこの層に強くアピールする理由もここにあります。一方、若い世代は実用主義的な外交政策を支持する傾向があり、イデオロギー対立よりも経済的実利を重視します。この世代間ギャップが、韓国政治の複雑さをさらに増しているのです。
国際的影響と今後の展望
モース・タン事件は、韓国の内政問題を超えて国際的な影響も持っています。元米政府高官による韓国政治への直接介入は、米韓関係にも微妙な影響を与える可能性があります。特に、根拠の薄い陰謀論が両国の政治対立に利用されることは、健全な民主主義の発展にとって好ましくありません。
今後注目すべきは、警察の調査結果と、それに対する保守・進歩両陣営の反応です。李在明政権の支持率が高水準を維持している現状では、タン教授の批判が即座に政権交代につながる可能性は低いと思われます。しかし、韓国の政治的分裂をさらに深刻化させ、社会の統合を阻害する要因となる恐れは十分にあります。特に2027年の次期大統領選挙を控え、このような外部からの政治介入が韓国民主主義にどのような影響を与えるかが重要な課題となるでしょう。韓国政治の今後の動向から、しばらく目が離せない状況が続きそうです。