大邱「身辺保護女性」殺害事件、加害者は4日間の逃亡後に世宗で逮捕―韓国社会に広がる怒りと不信

事件概要：警察の保護下で起きた悲劇

皆さんは知っていますか？2025年6月10日未明、大邱で警察の身辺保護を受けていた50代女性が自宅マンションで元交際相手の男に刺殺される事件が発生しました。加害者はガス配管をよじ登り、AI顔認識CCTVを避けて6階の被害者宅に侵入。犯行後すぐに車やバイクで逃走し、韓国社会に大きな衝撃を与えました。

加害者の逃亡と逮捕までの4日間

事件後、加害者は大邱から忠清北道清州、そして世宗市へと逃亡。警察はドローンや警察犬、数百人規模の捜索隊を投入し、山間部や貯水池周辺まで徹底的に追跡しました。加害者はナンバープレートのないオートバイで世宗市内を移動し、ついに6月14日夜、知人の倉庫前で無抵抗のまま逮捕されました。

警察・司法の対応に対する社会の怒り

この事件で最も批判が集まっているのは、加害者が過去にも凶器による脅迫で警察に逮捕されていたにもかかわらず、裁判所が拘束令状を棄却し、在宅起訴となっていた点です。被害者宅にはAI顔認識CCTVやスマートウォッチなどの保護措置が取られていましたが、実際の危険を防ぐことはできませんでした。韓国の主要コミュニティ（더쿠、네이트판、인스티즈、네이버、다음、디시인사이드等）でも「司法が加害者を野放しにした」「警察の保護体制は形だけ」と怒りや失望の声が相次いでいます。

韓国社会におけるストーカー犯罪と女性暴力の現状

韓国では近年、ストーカー犯罪や交際暴力による殺人事件が相次いでいます。2024年にも亀尾市でストーカー被害女性が殺害され、加害者に死刑が求刑された事件が大きく報道されました。被害者が何度も警察に相談し、接近禁止命令や保護措置を受けていたにもかかわらず、実際の危険を防げなかった事例が続いています。社会全体で「制度はあるが実効性がない」という不信感が高まっています。

メディア・ブログ・コミュニティの反応と議論

主要ニュースサイト（연합뉴스、매일경제、조선일보、MBCニュース等）やNaver、Tistoryのブログでも、「警察と司法の連携不足」「AI防犯システムの限界」「被害者の声が届かない現実」など、制度の形骸化を指摘する意見が多数見られます。ブログでは被害者やその家族の苦しみ、他の被害者の体験談、女性の安全を守るための社会的連帯の必要性を訴える投稿が拡散しています。

コミュニティ代表的な意見（肯定・否定）

더쿠や네이트판では「これが現実か」「また同じことが起きた」と制度不信の声が多く、ディシ인사이드では「警察も限界があるが、司法が加害者を守っている」といった批判が目立ちます。一方、「警察官個人を責めるのは違う、システム全体の問題だ」と冷静な意見も見られます。

海外ファン・読者が知っておくべき文化的背景

韓国では近年、女性の人権やジェンダー暴力に関する意識が急速に高まっていますが、法制度や社会的対応はまだ追いついていません。ストーカー犯罪や親密パートナーによる暴力は「個人の問題」ではなく、社会全体の構造的課題として捉えられつつあります。海外の皆さんも、韓国社会が直面するジェンダー平等や司法改革の現場をこの事件から読み取ることができます。

今後の展望と社会的インパクト

加害者は大邱に移送され、殺人容疑で厳しく取り調べられる予定です。事件を受けて、国会や市民団体はストーカー犯罪の厳罰化や被害者保護制度の抜本的見直しを求める声を強めています。今後も韓国社会で女性の安全、司法の信頼回復に向けた議論が続くでしょう。