6時間の拘束適否審査を終えた尹…釈放の可否、早ければ今日決定

韓国政治史上最も注目される6時間の法廷闘争
皆さんはご存知でしたか?韓国の尹錫悦前大統領の運命が、たった6時間の拘束適否審査によって決まろうとしていることを。2025年7月18日、ソウル中央地方法院で行われたこの審査は、韓国の政治史において最も注目を集める法廷闘争の一つとなりました。午前10時15分から午後4時15分まで、約6時間にわたって非公開で進行されたこの審問は、尹前大統領の今後を左右する重要な分岐点となったのです。
尹前大統領は現在、京畿道義王市のソウル拘置所で結果を待っています。昨年12月3日の戒厳令宣布失敗から始まったこの一連の事件は、韓国の民主主義と法治主義の根幹を揺るがす歴史的な出来事として記録されています。内乱特別検察官チームによる再拘束から8日が経過した中で行われたこの審査は、単なる法的手続きを超えて、韓国社会全体が注視する政治的イベントとなりました。
弁護団の必死の健康状態アピール戦略

尹前大統領の弁護団は、この日の審問で2時間にわたって140ページ分のパワーポイント資料を使用し、前大統領の釈放を求める論拠を展開しました。金洪一弁護士をはじめ、裴甫允・崔智宇・宋鎮好・柳廷和・金桂利弁護士らが出席し、健康悪化を前面に押し出した戦略を取りました。特に注目されたのは、肝機能数値の上昇、不眠症、食事困難などの医学的証拠を提出したことです。
提出された血液検査結果によると、肝機能を示すガンマGTP数値が約320IU/Lまで上昇しており、これは成人男性の正常範囲(11〜63IU/L)を大幅に超える数値でした。弁護団は健康管理が困難だという診断書と関連書類を法廷に提出し、拘束状態の継続が前大統領の健康に深刻な脅威となることを強調しました。審問後、柳廷和弁護士は記者団に対し、肝数値などの健康問題と歩行困難などをすべて説明したと明かしました。
特検側の強力な反撃と証拠隠滅懸念の主張
一方、特検側は朴億洙特別検察官補佐と趙在哲部長検事らが参席し、約100ページ分のパワーポイント資料と前日に提出した100ページの意見書を基に、徹底的な反駁を展開しました。特検は、容疑が十分に立証されており、重大な犯罪である以上、拘束を維持すべきだと強く主張しました。特に証拠隠滅の懸念について、特検は周辺人物に対する供述誘導の可能性など、証拠隠滅の恐れが大きいと指摘しました。
さらに特検は、ソウル拘置所から尹前大統領の歩行に問題がないという返答を受けたとして、釈放事由にならないと強調しました。これは弁護団の健康悪化主張に対する直接的な反駁であり、拘置所の公式見解を根拠として提示したものです。特検側は、尹前大統領が既に数回にわたって証拠隠滅を行ってきたと主張し、事後に戒厳宣布文を虚偽で作成したり、軍司令官らの秘話電話記録を削除するよう指示した行為自体が証拠隠滅だと論じました。
5つの争点となった具体的な容疑内容
今回の拘束適否審査で争点となったのは、令状に記載された5つの具体的な容疑でした。これらは▲国務委員審議権侵害▲戒厳宣布文事後作成▲虚偽公報▲秘話電話記録削除指示▲逮捕令状執行阻止などです。弁護団はこれらの容疑がすべて既存の内乱容疑に包含されるため、同一容疑での再拘束はできないと主張しました。また、特検による拘束が過去の公捜処捜査時に行われた拘束に続く再拘束だという点も強調しました。
しかし特検側は、これらの容疑が既存の容疑とは別個の独立した犯罪行為であり、新たな証拠に基づいて立証可能だと反駁しました。特に国務委員の一部にのみ召集通知を送り、通知を受けられなかった国務委員らの憲法上の権限である国務会議審議議決権を侵害したという点を重視し、憲法上設けられた非常戒厳宣布事前統制装置を無力化したと説明しました。これらの容疑は2024年12月3日の戒厳令宣布という歴史的事件の核心的な争点となっています。
拘置所での厳しい現実と前大統領の苦悩
7月10日の再拘束以降、尹前大統領はソウル拘置所で厳しい現実に直面しています。平素から糖尿病と眼疾患を患っていた前大統領は、拘束後に必要な薬物の適時搬入ができず、健康状態が急激に悪化したと伝えられています。猛暑の中での制限された運動環境と拘置所の劣悪な環境が健康悪化を加速させているという主張も出ています。
法務部は尹前大統領が収容前に服用していた医薬品を所持せずに入所したため、疾病治療に必要な官給薬品を優先支給した後、申請による外部借用薬品を許可して支給したと説明しました。また居室内に扇風機が設置されており、酷暑期収容管理のため収容棟の温度を毎日確認して管理中だとし、尹前大統領の屋外運動を制限した事実もないと反駁しました。それでも弁護団は、継続的な拘束が前大統領の健康に深刻で回復不可能な脅威をもたらすと主張し続けています。
裁判所の最終判断とその波及効果
審問終了後、裁判部は拘束要件充足の可否と証拠隠滅可能性などを総合的に考慮して判断を下すと発表しました。刑事訴訟規則により、結果は審問終了後24時間以内に決定されることになっています。しかし実際には、ソウル中央地方法院は尹前大統領の拘束適否審査請求を棄却する決定を下しました。裁判所は審問結果と事件記録によると、この事件の請求は理由がないと認定されると明らかにしました。
この決定により、尹前大統領は引き続き拘束状態でソウル拘置所に収監され、特検の捜査を受けることになりました。特検チームは7月19日、尹前大統領を職権濫用権利行使妨害などの容疑で拘束起訴したと発表しました。この判断は韓国の政治情勢と司法制度に重大な影響を与えており、元大統領でも法的責任から逃れることはできないという強いメッセージを送っています。今後、尹前大統領は内乱容疑で有罪判決を受けた場合、終身刑の可能性に直面することになり、この拘束適否審査は韓国が大統領の責任をどう問うかを決める歴史的な法的事件の一章として記録されることでしょう。