フーシ派、紅海で貨物船攻撃を主張…「完全沈没」最新情勢と日本への影響

フーシ派の紅海攻撃再開：新たな海上戦争の始まり

皆さんはご存知でしたか？2025年7月7日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海でリベリア船籍の貨物船「マジックシーズ」を攻撃し、完全に沈没させたと主張しました。この攻撃は、2025年5月の停戦合意以降、初めての大規模な海上攻撃であり、世界の海運業界に衝撃を与えています。

フーシ派の軍事報道官ヤヒヤ・サリー氏は声明で、ミサイルや爆弾を搭載したドローンボート、そして小型艇による協調攻撃を行ったと発表しました。攻撃は約4時間にわたって続き、22名の乗組員は全員無事に救助されましたが、船舶は完全に沈没したとされています。

この攻撃の背景には、2023年10月のハマス・イスラエル戦争以降続くフーシ派の海上封鎖戦略があります。フーシ派は、イスラエルの港を利用する企業の船舶を標的にすることで、ガザ地区への攻撃停止と包囲解除を求める政治的メッセージを発信しています。攻撃対象となったマジックシーズは、ギリシャの海運会社オールシーズ・マリンが運航する船舶で、同社の他の船舶がイスラエルの港を利用していたことが攻撃の理由とされています。

紅海の戦略的重要性と世界経済への影響

紅海は世界の海上貿易の約12％を占める極めて重要な航路であり、特にスエズ運河を経由する欧亜間の貿易において不可欠な役割を果たしています。フーシ派の攻撃により、この重要な航路の安全が脅かされることで、世界的な供給網に深刻な影響が生じています。

2023年末から2024年にかけてのフーシ派の攻撃キャンペーンでは、紅海を通る商業船舶の航行が90％減少し、多くの船舶が喜望峰回りの代替ルートを選択せざるを得ませんでした。この迂回により、航行時間が10～14日延長され、燃料費や輸送コストが大幅に増加しました。

今回の攻撃再開により、海上保険料は過去1週間で2倍に跳ね上がり、主要な海運会社は再び航路変更を検討し始めています。スエズ運河庁は前回の危機で大幅な収入減少を経験しており、新たな危機の再来を懸念しています。日本のような貿易依存度の高い国にとって、この状況は特に深刻な経済的影響をもたらす可能性があります。

国際社会の反応と軍事的対応

国際社会はフーシ派の攻撃再開に対して迅速かつ強い反応を示しています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、民間船舶への攻撃を受け入れがたいものとして強く非難し、乗組員の安全を脅かし、航行の自由を侵害する行為であると警告しました。

欧州連合の海上安全保障ミッション「アスピデス作戦」は、救助活動や情報収集に積極的に関与しており、各国の海軍と連携して商業船舶の保護に努めています。しかし、紅海の広大な海域とフーシ派の多拠点からの攻撃能力により、完全な保護は極めて困難な状況です。

アメリカは特に複雑な立場に置かれています。2025年5月に終了した7週間の空爆作戦「ラフライダー作戦」後の停戦合意の効果に疑問が生じており、軍事作戦の再開を検討せざるを得ない状況となっています。イギリスとアメリカによる前回の大規模空爆でも、フーシ派の攻撃を完全に阻止することはできませんでした。

日本のオンラインコミュニティと韓国ネットユーザーの反応

この事件に対する日本のオンラインコミュニティの反応は複雑で多様です。2ちゃんねるやヤフーコメント、ツイッターでは、フーシ派の行動に対する賛否両論が激しく交わされています。一部のユーザーは、パレスチナ支援の観点からフーシ派の行動に理解を示す一方で、多くのユーザーは国際的な海上輸送の安全を脅かす行為として強く批判しています。

特に注目すべきは、韓国のネイバーやティストリーブログでの反応です。韓国のネットユーザーは、이스라엘의 가자 공격을 멈춰야 한다（イスラエルのガザ攻撃を止めるべきだ）という意見と、홍해 봉쇄는 우리 경제에도 직접적 영향（紅海封鎖は我々の経済にも直接的影響）という経済的懸念を表明する意見に分かれています。

韓国は貿易依存度が高い国として、紅海航路の安全に特に敏感であり、実用的な経済的観点から問題を捉える傾向があります。日本のネットユーザーも同様に、イデオロギー的な立場よりも、実際の経済的影響を重視する傾向が見られます。これは、両国が海運に依存する島国・半島国家としての特性を反映していると言えるでしょう。

エタニティC号事件：さらなる悲劇的エスカレーション

マジックシーズ攻撃のわずか24時間後、さらに深刻な事件が発生しました。7月8日、同じくギリシャ系の船舶エタニティC号が攻撃を受け、2025年のフーシ派攻撃で初めての死者が確認されました。この事件は、フーシ派の海上攻撃がより致命的な段階に入ったことを示しています。

エタニティC号は、リベリア船籍のバルク貨物船で、フィリピン人22名とロシア人1名の乗組員、さらに3名の警備員が乗船していました。小型艇に包囲され、継続的な攻撃を受けた結果、船舶は重大な損傷を受け、推進力を失い、右舷に15度の危険な傾斜を生じました。

欧州連合の海軍部隊は、この攻撃で複数の犠牲者が出たことを確認し、ロシア人電気技師が攻撃で足を失ったと報告しています。フーシ派は、一部の乗組員を救助し、医療支援を提供した後、安全な場所に移送したと主張していますが、海上安全保障の情報源によると、6名の乗組員がフーシ派の拘束下にあるとされています。

この連続攻撃は、フーシ派の攻撃能力の高度化と、その標的選定基準の拡大を示しており、国際海運業界に深刻な懸念を与えています。

経済的波及効果と日本への具体的影響

フーシ派の攻撃再開は、日本経済にも直接的な影響を与える可能性があります。日本は輸入依存度が高く、特に中東からの石油輸入や、アジア・欧州間の貿易において紅海航路を重要視しています。攻撃により航路の安全が脅かされることで、日本企業の物流コストが大幅に増加する恐れがあります。

日本の主要商社や海運会社は、既に代替ルートの検討を開始しており、喜望峰回りの航路への変更により、輸送時間の延長と燃料費の増加が避けられない状況です。これにより、消費者物価への影響も懸念されています。

また、日本の自動車産業や電子機器産業など、グローバルなサプライチェーンに依存する産業では、部品調達の遅延や コスト増加が生産計画に影響を与える可能性があります。政府は関係省庁と連携し、海上輸送の安全確保と代替ルートの確保に向けた対策を検討しています。

日本の海上保安庁も、自衛隊海上部隊と連携して、日本関連船舶の安全確保に向けた警戒活動を強化しており、必要に応じて護衛活動の実施も検討されています。

今後の展望と地域安定への課題

フーシ派の攻撃再開は、軍事的手段だけでは解決が困難な複雑な問題であることを改めて浮き彫りにしています。アメリカとイギリスによる大規模な空爆作戦でも、フーシ派の攻撃を完全に阻止することはできませんでした。フーシ派の分散した組織構造と地下施設の利用により、従来の軍事的圧力に対する抵抗力を持っているのが現状です。

外交的解決が求められる中、フーシ派はイスラエルがガザでの作戦を停止するまで攻撃を継続すると明言しており、紅海危機とより広範なイスラエル・パレスチナ問題との連動が解決を複雑にしています。この状況は、複数の相互関連する地域問題での進展に依存する多面的なアプローチが必要であることを示しています。

海運業界は、船舶への武装警備の配置強化や国際海軍部隊との連携改善など、安全対策の強化を進めています。しかし、これらの措置は大幅なコスト増加を伴い、フーシ派が現在使用している高度な攻撃手法に対する完全な保護を保証するものではありません。

今後数週間の動向が、これらの攻撃が孤立した事件なのか、それとも世界の海上貿易を再び混乱させ、国際社会にイエメン紛争への取り組み方の再考を迫る新たなキャンペーンの始まりなのかを決定する上で極めて重要になるでしょう。最近の攻撃の高度化、特に複数の兵器システムの協調使用は、将来の攻撃がさらに破壊的で防御が困難になる可能性を示唆しています。