韓国で相次ぐアパート火災、ソウル消防庁が老朽共同住宅の緊急安全点検を実施

なぜ韓国でアパート火災が社会問題化しているのか?
皆さんはご存じでしたか?最近、韓国の釜山で幼い姉妹が火災で命を落とす事件が立て続けに発生し、全国的な衝撃と不安が広がっています。特に、築20年以上の老朽共同住宅でスプリンクラーが設置されていない物件が多く、火災時の被害拡大が懸念されています。こうした背景から、消防庁は全国規模で緊急の安全点検を開始しました。
釜山で続く悲劇、幼い姉妹がまた犠牲に

2025年6月24日と7月2日、釜山の異なるアパートで、両親が仕事で外出中に火災が発生し、いずれも幼い姉妹が煙を吸って死亡しました。現場は築20年近いアパートで、スプリンクラー未設置。エアコンのマルチタップの配線トラブルが原因とみられています。住民やコミュニティは「またか」「なぜ対策が遅れたのか」と嘆き、社会全体が深い悲しみに包まれました。
消防庁の緊急点検、その具体的な内容とは?
今回の緊急点検は7月1日から14日までの2週間、全国で一斉に実施されます。対象は築20年以上かつスプリンクラー未設置のアパートのうち10%で、各地域の消防本部が老朽度や設備状況を考慮し、特に火災リスクが高い物件を優先的に選定します。主な確認事項は自動火災探知設備や避難経路の確保、避難情報伝達体制の点検、設備の作動・維持管理状況などです。
現場レポート:住民の声と現場の課題
現場では、火災時に住民が自力で消火活動を試みたり、避難経路が十分に確保されていなかったりと、様々な課題が浮き彫りになっています。被害アパートの住民は「スプリンクラーがあれば助かったかもしれない」「夜間の停電も多く不安」と語ります。釜山市は遅ればせながら、スプリンクラー未設置アパートの全数調査や緊急対策を打ち出しました。
コミュニティの反応:ネット上の議論と市民の声
韓国の主要コミュニティ(더쿠、네이트판、인스티즈、디시인사이드など)では、「なぜ今まで放置されてきたのか」「法の死角をなくせ」「親が働きに出るしかない現実も問題だ」といった怒りや悲しみの声が溢れています。一方で、「子どもだけを家に残すリスク啓発も必要」「行政の点検だけでなく住民自身の防災意識も大切」といった建設的な意見も見られます。
法制度の死角と今後の課題
韓国では2005年以降、スプリンクラー設置が義務化されましたが、建築許可と竣工時期のズレにより、法改正の適用外となっている“死角”アパートが釜山だけで9万世帯以上存在します。今回の点検でも、すべてのリスク物件が対象となるわけではなく、制度的な抜け穴が大きな課題として浮上しています。
文化的背景:韓国の集合住宅文化と防災意識
韓国では都市部の多くの人々がアパートで暮らしており、特に経済成長期に建てられた物件は安全基準が緩いまま残っています。新築物件は比較的安全ですが、低所得層や高齢者が多く住む古いアパートはリスクが高いのが現状です。火災事故は社会全体の責任や子どもの安全、家庭のあり方を問い直すきっかけとなっています。
今後の展望と国民への呼びかけ
今回の緊急点検は第一歩に過ぎません。専門家や市民からは「全アパートへのスプリンクラー義務化」「点検・補助金の拡充」「住民向けの防災教育強化」など、より抜本的な改革を求める声が高まっています。韓国社会がこの痛ましい事件を教訓に、より安全な住まいと社会を目指せるか注目されています。