現代自動車、蔚山工場のEVライン再び停止…2025年4度目の決断、その裏にある韓国自動車業界の現実

現代自動車、蔚山工場EVライン再び停止:2025年4度目の衝撃
皆さんはご存じでしたか?韓国の現代自動車が、蔚山第1工場でアイオニック5とコナEVを生産する12ラインの稼働を、6月25日から3日間停止すると発表しました。今年だけで実に4回目の生産中断です。この決断は、単なる一時的なトラブルではなく、韓国自動車産業全体に大きな波紋を広げています。背景には、世界的なEV需要の鈍化、輸出の不振、そして米国の追加関税など複数の要因が絡み合っています。
EV需要の『キャズム』と韓国メーカーの苦悩

韓国メディアや業界関係者の間では、EV市場の『キャズム』(一時的な需要停滞)が話題になっています。初期の爆発的な成長を経て、消費者の関心が一巡し、次の成長段階に進む前の停滞期に突入したという指摘です。実際、2025年1〜4月のアイオニック5の輸出台数は前年同期比で約65%減、コナEVも42%減と大幅な落ち込みを記録しました。韓国国内でも、最大600万ウォンの大幅割引や積極的なプロモーションを展開しても、販売回復には至っていません。
米国関税の衝撃とグローバル輸出の壁
現代自動車が苦しむもう一つの大きな要因は、米国のトランプ政権による輸入車関税の強化です。2025年春には乗用車と小型トラックに25%の追加関税が課され、現代だけでなく韓国自動車メーカー全体の米国向け輸出が急減しました。加えて、欧州やカナダなど主要市場でも補助金縮小や規制強化が進み、グローバルな販売網が大きく揺らいでいます。
在庫増加と『空ピッチ』運転の限界
蔚山工場ではここ数ヶ月、車両の組立がないままコンベアベルトだけが動く『空ピッチ』運転が続いていました。しかし、それでも在庫が積み上がり、ついに生産ラインの一時停止を決断せざるを得なくなりました。現地報道によると、2月、4月、5月にも同様の停止が行われており、今年だけで既に4回目。現代自動車の電動化戦略にとっても大きな試練となっています。
韓国コミュニティの反応:不安、批判、そして期待
韓国の大手コミュニティサイト(더쿠、네이트판、인스티즈、디시인사이드、에펨코리아など)では、今回の生産停止に対して様々な声が上がっています。「労働者の雇用は大丈夫なのか」「現代はもっと早く戦略転換すべきだった」「テスラや欧州勢に押されている」など、厳しい意見が多い一方、「現代の雇用維持努力は評価できる」「新モデル投入に期待」といった前向きな声も目立ちます。労働組合は、新モデル割り当てや経営陣との対話強化を求めているとの報道もあります。
海外EV市場の動向と日本の状況
日本国内でもEV市場は伸び悩んでいます。2025年5月のEVシェアは2.6%と、前年同月から微増したものの、2023年比では大幅減少。国内メーカーの新型EV投入が少なく、今後もしばらく低調が続くと予想されています。一方、韓国の現代や起亜も日本市場での存在感を高めようとしていますが、現状は厳しい状況です。
現代自動車と韓国産業界にとっての意味
現代自動車は単なる一企業ではなく、韓国経済と社会を象徴する存在です。蔚山工場の動向は、地域経済やサプライチェーン全体にも大きな影響を与えます。今回の生産停止は、韓国製造業が直面するグローバル競争と構造転換の象徴的な出来事と言えるでしょう。今後、現代自動車がどのように新たな成長戦略を描くのか、国内外の注目が集まっています。
今後の展望:危機は転機となるか
専門家の多くは、今回の危機を一時的な調整局面と見ています。現代自動車は引き続き新技術や新モデルへの投資を続ける方針ですが、効率化や市場適応力の強化が不可欠です。消費者の信頼回復やグローバル競争力の再構築が急務となる中、蔚山工場の再稼働と韓国EV産業の今後に、世界中のファンや業界関係者が注目しています。
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