韓国社会を揺るがす：36週中絶手術で医師と病院長が逮捕、ネットは大論争

Jul 8, 2025

ニュース

はじめに：衝撃の事件が韓国を揺るがす

皆さんは、韓国で今、妊娠36週という出産間近の時期に中絶手術が行われた事件が大きな社会問題になっていることをご存知ですか？2025年6月、20代のYouTuber女性が妊娠36週で中絶手術を受けた体験を動画で公開したことをきっかけに、手術を執刀した医師と病院長が殺人容疑などで逮捕されました。この事件はネットやメディアで大きな波紋を呼び、韓国社会の価値観や法制度の問題点を浮き彫りにしています。

事件の経緯と逮捕の背景

2024年10月、ソウル中央地裁は80代の病院長ユン氏と60代の執刀医シム氏に対し、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を発付しました。警察は7ヶ月間の追加捜査を経て、殺人や医療法違反の疑いで2人を送検。問題の手術は、YouTuberのA氏が「妊娠36週で中絶した」と体験談を動画で公開したことから発覚し、世間の注目を集めました。警察は、手術で取り出された胎児が生存可能な状態だったにも関わらず、医療スタッフが適切な処置を行わなかった疑いがあるとしています。

韓国の中絶法と“法の空白”

韓国では2019年に憲法裁判所が中絶罪の違憲判決を下しましたが、その後も新しい法整備が進まず、特に妊娠後期の中絶に関する明確な規定が存在しません。24週以降の中絶は原則禁止ですが、罰則や適用範囲が曖昧で、医療現場や女性たちに大きな不安を与えています。今回の事件では、保健福祉部が殺人容疑で警察に捜査を依頼し、胎児が生きていたかどうかが最大の争点となっています。

ネットとコミュニティの反応：賛否両論と社会の分断

韓国のネットコミュニティやSNSでは、「36週ならもう赤ちゃん、これは殺人だ」「法律が曖昧すぎて医師も女性も犠牲者だ」など、賛否両論が巻き起こっています。Nate PannやTheQoo、Instiz、DC Insideなどの掲示板では、医師や病院長への厳罰を求める声と、女性の事情や医療現場の苦悩に共感する声が真っ二つに分かれています。NaverやTistoryのブログでも、「法の空白が事件を生んだ」「女性の選択肢が狭すぎる」といった分析や、他国との比較、医療現場の実情を伝える記事が多く見られます。

医療倫理と病院の責任：CCTV未設置問題

今回の事件では、手術室にCCTV（監視カメラ）が設置されていなかったことも大きな問題となりました。韓国では2024年から手術室へのCCTV設置が義務化されていますが、病院側はこれを怠っていたため、手術当時の正確な状況把握が困難になっています。医師会は「事実であれば厳罰を」としつつも、医療現場への過度な非難が医師不足や違法中絶の増加につながると警鐘を鳴らしています。

女性の権利と政策の不備：現場の声

女性団体やフェミニストの間では、「刑事罰よりも明確なガイドラインと支援が必要」「法の不備が女性も医師も追い詰めている」といった声が強まっています。11の女性団体が共同声明を発表し、母体の健康や社会的事情を考慮した包括的な法整備と、安心して相談できる医療体制の構築を訴えています。

文化的背景：なぜ韓国でここまで大きな問題になるのか

韓国では未婚の母やシングルマザーへの社会的スティグマが強く、妊娠や出産に関する女性の選択肢が非常に限られています。また、急速な価値観の変化と法整備の遅れが社会の混乱を招いています。YouTubeなどSNSの影響力も大きく、個人の体験談が一気に社会問題化する傾向があります。海外の読者にとっては、韓国社会の伝統的価値観と現代的な女性の権利意識の衝突が、この事件の本質にあることを知ってほしいポイントです。

コミュニティの代表的なコメント紹介

Nate Pann：「これが殺人でなければ何なのか？」、「医師は板挟みだ」
TheQoo：「YouTuberは注目を集めたかったのか、本当に困っていたのか？」
Instiz：「女性の自己決定権が守られていない」
DC Inside：「中絶の許容範囲についてアンケート」
Naver・Tistoryブログ：「法の空白が医療現場を混乱させている」「この事件で医師がますます萎縮し、女性が危険な選択を強いられるのでは」など。